Musical

1st Full Album
Musical
ココロオークション

  1. Enter’acte
  2. 砂時計
  3. 少年と夢
  4. 今日もわたしは
  5. ハローグッバイ
  6. 星座線
  7. コインランドリー
  8. Interlude
  9. かいじゅうがあらわれた日
  10. 妖精のピアス
  11. フライサイト
  12. 景色の花束
  13. Musical

TECB-1007 / 18.03.28 / ¥2,315+tax

Amazon.co.jp / TOWER RECORDS / HMV / ヴィレッジヴァンガード


‘溢れ出す、音に溶けた情景’
Musical = 音楽的に

ただ闇曇に音を鳴らすだけではただの音の羅列であり音楽ではない。でもそれに少し手を加えて’音楽的に’するとただの音の羅列が急に輝いたもの(=芸術)に生まれ変わる。これこそが音楽を作るという事だと感じました。
ただの音の羅列に息吹を与えて芸術に昇華する。それは我々にとって’情景を音にする’ということでした。
日常の景色と刹那の景色のコントラストに’生きることとは’という命題を乗せています。
今まで培ってきたものと新しく掴み取ったもの、すべての音が「Musical」という合言葉の元に集まりました。
あなたの耳でそして心で確かめてください。


購入特典情報

タワーレコード
タワーレコード限定デザインステッカー
TOUR 2018 「Welcome to the Musical」ワンマンライブ(8公演)
バックヤードご招待応募権付き[各公演1組2名様]
HMV
HMV限定デザインステッカー
ツアーグッズ&メンバー私物プレゼント応募権付き[8名様]
ヴィレッジヴァンガード
ヴィレッジヴァンガード限定デザインステッカー
あさくらちさとデザイン缶バッチ付き

さらにこの限定ステッカー(どの店舗のものでも)を
TOUR 2018 「Welcome to the Musical」の会場に持ってくると
「Secret Musical Site」にアクセスできる CCRカード をプレゼント!

<「Secret Musical Site」内容>
・ TOUR 1st day ホールワンマンドキュメントムービー
・ Welcome to the Musical Tour オフショットムービー
・ 粟子弾き語り動画”あわ語り”(全3本)
・ SPECIAL WEB RADIO”ココラジ”(全3回)
・ 井川画伯責任監修”さっちゃんを探せ!”(描けるだけ)


ココロオークション
1st FULL ALBUM「Musical」
CD購入者特典 アウトストアライブ

東京、名古屋、大阪で招待アウトストアライブを開催!
アウトストアライブのチケットは各会場の対象店舗で「Musical」を購入した人に先着で配布いたします。

4月01日(日)東京 下北沢近松
OPEN 13:30 / START 14:00
[参加券配布店舗] タワーレコード秋葉原店 / タワーレコード池袋店 / タワーレコード川崎店 
タワーレコード渋谷店 / タワーレコード新宿店 / タワーレコード八王子店
タワーレコード町田店 / タワーレコード横浜ビブレ店 / HMV&BOOKS SHIBUYA

4月04日(水)大阪 福島2nd LINE
OPEN 19:30 / START 20:00
[参加券配布店舗] タワーレコード梅田大阪マルビル店 / タワーレコード梅田NU茶屋町店
タワーレコード難波店 / タワーレコード京都店 / タワーレコードあべのHoop店
タワーレコード神戸店 / タワーレコード橿原店

4月19日(木)愛知 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL
OPEN 19:30 / START 20:00
[参加券配布店舗] タワーレコード名古屋パルコ店 / タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
タワーレコード東浦店 / タワーレコード鈴鹿店 / タワーレコードモレラ岐阜店
タワーレコード大高店 / HMV栄店

※入場の際、別途ドリンク代が必要になります。ご了承ください。


【参加方法】
各会場、対象店舗にて2018年3月28日(水)発売ココロオークション 1st Full Album「Musical」お買い上げの方に先着で整理番号付き入場券を差し上げます。整理番号付き入場券をお持ちの方は、上記イベントにご参加いただけます。

<注意事項>
・整理番号はランダムでのお渡しとなります。
・整理番号付き入場券は1枚につき、1名様のみご入場頂けます。
・整理番号付き入場券は数に限りがございますので、お早めにお買い求めください。
・イベント当日、諸事情によりイベント自体が中止となる場合がございます。
・いかなる機材による写真撮影、動画撮影、録音行為は禁止します。
・当日の事故・混乱防止のため、イベントでは様々な制限を設けさせて頂くことがございます。
・整理番号付き入場券の再発行はいたしません。紛失等にはご注意ください。
・当日は、会場周辺での座り込み集会等は、他のお客様のご迷惑となりますので禁止とさせていただきます。
・会場周辺での徹夜等は、固くお断りいたします。
・運営の妨げとなる行為をされますと会場より退場していただきます。最悪の場合、イベント自体を中止することもございます。
・当日マスコミ・メディアの取材・撮影が入る場合がございます。


<問い合わせ先>
テイチクエンタテインメント
https://www.teichiku.co.jp/inquiry/


ココロオークション TOUR 2018
~Welcome to the Musical~

・ 4/21(土) 渋谷 PLESURE PLESURE 〜TOUR 1st day HALL ONEMAN〜
・ 4/27(金) 大阪 TRAD 〜Major Debut 2nd Anniversary day〜
・ 5/20(日) 高松 DIME ※対バン公演
・ 5/27(日) 福岡 Queblick
・ 6/01(金) 神戸 太陽と虎 ※対バン公演
・ 6/09(土) 広島 4.14
・ 6/10(日) 岡山 IMAGE
・ 6/16(土) 札幌 COLONY
・ 6/22(金) 愛知 ell FITS ALL
・ 6/30(土) 富山 SOUL POWER 〜Cocoro Auction meets 夜が踊る夜〜
・ 7/01(日) 金沢 vanvanV4 ※対バン公演
・ 7/14(土) 新潟 CLUB RIVERST ※対バン公演
・ 7/16(祝) 仙台 HOOK
・ 7/28(土) 大阪 服部緑地野外音楽堂 ※対バン公演 〜TOUR FINAL COCORO FES〜

<一般発売>
4/5月公演分 3/3(土)〜
6/7月公演分 4/7(土)〜

※先行販売も随時行っております。詳しくはココロオークション公式Twitterにてご確認ください。

TALK About “Musical”

僕らの意志表示として、“こういう音楽をやっていきますよ”っていう気持ちなんで

ココロオークションが、メジャー1stフルアルバム『Musical』を完成させた。バンドの明確な意識の変化を音にした今作に到達するために費やした、膨大な時間と音楽の変遷。ココロオークションの歴代のディスコグラフィーを一歩一歩たどりながら、『Musical』はなぜ生まれたかを紐解くロングインタビュー、TALK about “Musical”。ここにしかない言葉と、ここにしかない景色。悔しさも、喜びも、いつだって音楽に生かされ、音楽に突き動かされてきた4人の、『Musical』を巡る旅へ――。

僕らはメインストリームの音楽にどっぷり浸かるのとは違うんやなって

――デモCDの『虹越え』(2011)から始まって、『TICKET』(2012)、『深海燈』『夢ノ在リ処』(2013)、『七色のダイス』『ヘッドフォンミュージック』(2014)、『ターニングデイ/プリズム』『Relight』(2015)、『CANVAS』(2016)、『CINEMA』『夏の夜の夢』(2017)、そして『Musical』(2018)。改めて全てのアーカイヴスをこのタイミングで聴くことで、ココロオークションの認識がちょっと変わったというか、王道の歌モノバンドだと思ってきたけど、違いましたね(笑)。

「やっと分かっていただけましたか(笑)」

――どんな音楽的変遷を経て『Musical』にたどり着いたかを聞いていきたいんやけど、そもそもみんなのルーツって?

「音楽を聴き出したのはお父さんの影響で、車の中でずっとTUBEが流れてたんですよ。ビブラートの感じがすごく好きで、マネして歌うようになって。小学校の高学年になったらアコギが流行って、Something ELseとか、ゆずとか…あの辺りから音楽を探し出して、BUMP OF CHICKENと出会って、ギターロックに目覚め、そこからさらにバンプの藤原(vo&g)さんのルーツの洋楽へ…UKロックとかサザンロックを聴いて、ビートルズ、オアシスにたどり着き、っていう感じですね」

「僕はブルーハーツが好きでバンドを始めたんですけど、お姉ちゃんの使ってないベースが家にあって弾き始めたという。大学でサークルに入って、藍坊主と椎名林檎のコピーバンドずっとやってたんですけど、今思ってもその2組のアレンジとベースラインにはめちゃめちゃ影響を受けてますね」

「僕は中3でギター始めるまではミスチルとか王道のJ-POPを聴いてたんですけど、楽器を始めてからは洋楽ばっかり聴くようになって。兄貴に“お前、レッチリ知らんの?”って言われて聴いてみたときに、“カッコいいな海外”ってなって(笑)。自分から好きになったのはレディオヘッドとかストロークスで、当時は『ロッキング・オン』を毎月買ってね。自然と好きになるのがUKロックの泥臭い部分で、そればっかり漁って聴いてましたね」

「僕がガキんちょの頃は全く音楽を聴かない子だったんですけど…(“ガキんちょ”という言葉のチョイスに一同大爆笑)元々、親父がバンドマンやったんですよ。お母さんはピアノの先生やったし音楽が好きな家庭ではあったんで、その影響でドラムを習ってて。ただ、当時はゲームもすごく好きやったんで、TSUTAYAに行って借りるCDもドラゴンクエストのサウンドトラックとかで。あれって交響楽なんで、中高生の頃は吹奏楽部に入ってトランペットとかをやってたんですけど」

――そこはドラムじゃなかったんや。

「パーカッションをやりたかったんですけど、試験に落ちてやれなかったんで(笑)。結局、高校生の頃に吹奏楽部はいろいろあって辞めて。兄貴が車でエアロスミスとかをずっと流してて、そういうハードロックが好きな時期もあったし、それこそ仲間とブルーハーツとかMONGOL800とかの曲を弾いてたら、すごく楽しかったり。“俺ってバンドがやりたいんや”って、そこで気付きました。それから大学に入ってメンバーのみんなと出会ったんですけど、同期に教えてもらったミッシェル・ガン・エレファントに衝撃を受けて。“ロックってこんなにカッコいいんや!”みたいな」

――そんな中で録った初めてのデモCDの『虹越え』は、最初の音源にしては渋いというか、若さ特有の勢いもなく(笑)。

「自然とできるのはこういう曲ばっかりですね。結成1年以内に書いた曲ばっかりで、最初に書いた2~3曲とかですかね」

――この頃は、どんなバンドを目指してたの?

「全然目標はないんですよ。大学卒業のタイミングだったし、就職するかしないかみたいな。とにかくスタジオに入って音楽がやりたかっただけなんで。それが始まりで、栗子さんが曲を書いてきてくれて、それをみんなでスタジオでジャムる。ただひたすらそれがしたかっただけなんで、ビジョンみたいなものは…」

「でも、何故かプロ志向というか、“いけそうな気がするぅ~”みたいには思ったよな?(笑) そもそも(大野くんに)バンドに誘われたときも、“ロックスターにならへん?”ってメールが来たんで(笑)」

――すごい誘い文句(笑)。『TICKET』の頃になると、活動も本格化してきて。聴き直してみると、この段階で割とネオアコとかニューウェーブっぽいこともやってたり。

「最初は、とりあえず僕らが知っている音楽のパターンを1つ1つやっていったような…8ビートの曲がないからやってみよう、テンポが速い曲がないから、バラードがないから作ろうとかって」

――『ドライブ』とかはいい曲やなと改めて。

「これは正直くるりみたいにしたかったんすよ。大学のコピーバンド時代に培ってきたものを出す、みたいな。とりあえずそれぞれのピースをかけ合わせて作ろうみたいな感じで」

「『Bye Bye』とかは」

「オアシスですね(笑)」

――続く『深海燈』は粒揃いの楽曲群で、歌モノに対する自覚の芽生えが感じられます。

「そう言われるとそうですね。まず、『TICKET』はライブハウスで流れてる音楽を知らないで作って、そこからたくさんライブハウスに出て、バンドの先輩もできて…。そういう中でどういう音楽がライブハウスで好かれていくか、それを何となく肌で感じて、できたのが『深海燈』とか『夢ノ在リ処』なのかなぁって」

「バンドを始めた頃は、ホンマにライブハウスのことを知らなかったので。でも、『深海燈』とか『夢ノ在リ処』で、『見放題』とか『MINAMI WHEEL』にも出始めて、KANA-BOONとかがデビューし出したくらいですかね。“関西めっちゃおもろい”って周りがザワつき始めた真っ只中でできた感じ。だから、結構希望を持って、“俺たちもいずれメジャーに行くんだ”みたいな、プラスの想いで曲を書いていた時期ですね」

――『七色のダイス』では『Musical』に通じる音楽性も感じるというか、『ワールド』とかは特にそうだけど、オーソドックスな歌モノだけじゃない曲を、という意図が垣間見えます。

「当時は4つ打ちという言葉が出始めた頃で、『夢ノ在リ処』では完全にそれに寄せたというか、明らかにそこを意識して作ったタイミングではあったんですけど…結局そういう曲ばっかりにならなかったのは、僕らはメインストリームの音楽にどっぷり浸かるのとは違うんやなって、良くも悪くも自覚し始めてたんやと思いますね」

――ココロオークションが大成するには時間がかかりますよという前触れじゃないけど(笑)。とは言え、状況的にはすごくよかったよね?

「そうですね。『七色のダイス』は初めての全国流通盤で、“タワレコメン”に選んでもらったので。やっぱりあの頃は…タワレコメンはマストやったんで嬉しかったですね」

「マネージャーから“タワレコメンに決まりました!”って電話がかかってきたとき、年イチ嬉しかったですね。“マジすかぁ!?”ってもうずっーと連呼してました(笑)」

「その報告を聞いた帰り道、機材買いましたもん(笑)。そこまではめっちゃどさ回りしてたんで…そういう意味ではしんどかった時期ではあると思うんですけど、そんな中でも世間的に、ライブハウス界隈だけじゃなくてタワレコメンっていう一般層に認めてもらえたのは嬉しかったですね」

中途半端なままでは絶対にうまくいかない

――で、テンメイはいつ出てくるのだろう(笑)。

「(笑)。傍から見てて、ココロオークションはちゃんとツアーも回って、タワレコメンになって、形になってるバンドっていう認識はすごいありました。当時、バンド界の流れを知っとかないといけないと思って、インディーズからメジャーまで、どんなふうに全国のバンドが動いてるのかをTwitterで見てたんですよ。ココロオークションはインディーズでもその頃7000~8000人くらいフォロワーがいて、そんな全国区のバンドからサポートを頼まれたときは正直、“チャンスやな”と思いました。『七色のダイス』を聴いたら自分の畑の要素もいっぱい詰まってたから、これは1回ちゃんとやってみたいなって。そこからすぐ『ヘッドフォンミュージック』の制作に入って、そのレコーディングもお願いしますということになって、さらにチャンスですよ(笑)。どこまでモノになるのか不安もありつつ、とにかくやるしかないなって」

――『ヘッドフォンミュージック』に関しては、かなりフェス向けの曲が多い印象です。

「振り返ると、この辺から明らかにライブシーンをめちゃめちゃ意識しているし、逆に言うと、ライブシーンオンリーな感じですね。ライブシーン以外の人に音楽をっていうのは、この時期は一旦忘れてる。いかにライブハウスで手が上がるか、どれだけ取り置きをもらえるか、そういうことで頭がいっぱい。っていう感じがしますね」

――ココロオークションの音源って、いつも2曲目で変わったこと=好きなことをやるっていう(笑)。

「もう完全にそうですね(笑)」

「そこで覚えたんです。とりあえずアッパーな曲を1曲作って表題曲にしたら、後は何をやってもいいと(笑)。あと、この頃コールドプレイに出会って。洋楽が好きというか、コールドプレイが好き(笑)。それこそ『ワールド』で参考にして作ったんですけど、いわゆるフェスとか4つ打ちのシーンのカウンターとして、自分ら的に引きがあったのかもしれないですね。ライブでやったら逆にカッコいいじゃないかっていう」

――自分たちなりにメインストリームに寄せたのにハマらなかったのか、気持ち的に違ったのか。

「嫌いではないんですよ、そういう曲ももちろんありますし。同時に避けてる部分もあるし、こればっかりはイヤだっていうのはあったと思います。ただ、『ヘッドフォンミュージック』のレコーディングはなかなかうまくいかなくて、気合を入れてもう1回やろうみたいなときに(テンメイが)突然、“僕、脱ぎます”って(笑)」

「しかも『夏の幻』で…(笑)。上半身裸でギターソロを弾いて、結局、脱がなかったテイクが採用されました(笑)」

「あと、『ヘッドフォンミュージック』ぐらいから(音楽ディレクターの)竹内修さんと一緒にやり始めたことで、例えばアレンジも、サビが2周あるとして、“コードを変えるならリズムは安易に変えちゃダメだよ”とか、音楽の真理じゃないですけどルールみたいなものを学び始めて。感覚でやみくもにやってきたものを、“ちゃんと理由があってこういうノリで”ってやっと考え出したというか」

――『ターニングデイ/プリズム』は一転、ちょっと実験的な部分もあると思うけど。

「『プリズム』はだいぶ挑戦的ですよねぇ。音楽の流行りで言うと、『ターニングデイ/プリズム』の頃は、完全にandropの衝撃というか…“めっちゃカッコいいバンドがいる!”と思った。4つ打ちのバンドのカウンターで、シンガロングできてキラキラしてて」

――でも、素直よね(笑)。言ったら、ライバルでもあるわけなのに。

「やっぱりまだまだ全然音楽を知らないですよね。本当に身の回りにある音楽の中でずっと探してる感じ」

「『ターニングデイ/プリズム』辺りから、自分の中で“共感を得るということはどういうことなんだろう?”とか、歌詞についてよく考えるようになったというか、時間をかけるようになりましたね。昔はそれこそ一晩で書いてたんで。竹内さんと一緒にやり始めたことで、そういう意識が芽生えて」

――そして、『Relight』はインディーズ時代の総まとめ感があるアルバムですけど、個人的には同時にある種の停滞も感じました。

「僕もだいぶヤバいと思ってました。『Relight』は本当に辛かったですね。『Relight』で音楽的な知識の成長が1回止まっちゃうんですよね。ライブハウスに入り浸り過ぎたというか…やっぱり、当時はフェスしか見てなかったですし、かと言ってカウンターになろうとしても実力が足りなくて…。『ここに在る』とかはいまだにライブで絶対やるし、大事な曲が入ってるアルバムなんですけど、難しかったです。停滞は僕も感じてましたね」

「僕も一番しんどかった時期ですね。『Relight』の制作中から追いつけないものを感じ始めて、今まで漠然と弾いてたフレーズを出しても上手くいかない。もちろん技術的な問題もあると思うんですけど、あのときは練習も、考えてたことも、一番しんどかったです。ただ、音楽的には停滞してたかもしれないですけど、メジャーも視野に入って、いい舞台に立つ頻度は増えてたんで…そこに立ったときにどう見られるのか? そのときに初めて、“自分はこのままでいいのか?”って思ったんです。漠然と考えてたことがダメになってきて、とにかくここで1つ意識を変えたというか、自分がこのバンドでどういうギターを弾くのか? 今までは野心とか、チャンスやと思ってたんで、バンドとして形にすることが自分の中ですごく難しかったんですよ。中途半端なままでは絶対にうまくいかない制作やったんで、必死に掴み取ろうとしていた時期やと思います」

「その時期は俺も行き詰まってて、ポケットにブラックニッカを忍ばせてスタジオに行く前に酒を飲んだり(笑)、結構荒れてた時期かもしれないです。今まで楽しくやってきたつもりやったけど、この辺りからバンドの演奏もパッとせぇへんなぁとか、ずっとこんな感じで売れへんなぁとか(笑)、“いったい俺の何があかんのやろ? 何にひと皮むけなあかんのやろ?”って考えてる時期でしたね」

「やっぱり、みんなの見てる場所が高くなってたんでしょうね」

デビューができてよかったというよりは、音楽を続けられることがまず嬉しかった

――そういう意味でも、このままの状態でもう1枚じゃなくて、次がメジャーでよかったのかもね。状況も環境も変わってリフレッシュせざるを得ないから、いいタイミングだったのかなと。単純な話、メジャーの話が来たときはどう思った?

「“よかったぁ、続けられる!”でしたね。もう音楽を続けられないかもって、どこかで思ってる自分もいたんで。大学を卒業して5年、もういい歳やし、親にも“あんたこれからどうするの?”って言われたり(笑)。親戚にもやっと仕事として“音楽をやってます!”って胸を張って言える、友達にもバカにされない。デビューができてよかったというよりは、音楽を続けられることがまず嬉しかったですね」

「プロデューサーの木崎(賢治)さんと作ることになって。今までは洋楽というよりコールドプレイが好きっていう感じだったんですけど、そこで洋楽とは、音楽とは何たるかを教えてもらって、この辺からいわゆるライブシーンとかは一旦置いといて、巷で流れているポップスであったり、アメリカのチャートだったり、広い意味で音楽全般に影響を受け出した。それが『CANVAS』なのかなぁって。良くも悪くも、それまではライブハウスで流行ってる音楽に影響を受けて作ってたので。音楽的にまだ花開くわけではないんですけどね…」

――テンメイが正式加入したのも『CANVAS』からよね。

「そうですね。制作自体は始まってたんですけど、加入はメジャーデビューの発表と同時やったんで。実はその発表の前日のリハで“加入やから”って言われたんで(笑)。録ってる最中はまだメンバーになるとは言われてなかったんですよね」

「アー写も一応4人で撮ってね(笑)」

「でもそのときは、“サポートでも一緒に写る場合もあるしな…”って(笑)」

――木崎さんとの出会いが大きなヒントをもたらしてくれつつ、『CINEMA』に関してはまだ模索中っていう感じもありますけど。

「この辺から大野くんのアイデア主導で作り始めた感じですかね」

「それまでは僕がアレンジだけ持って帰ってやる感じだったのが、だんだん先にアレンジしてからメロディを付けるようになり出して。そういうふうに作り方が変わっていったり、打ち込みの音が増えたり、エンジニアさんが変わって初めて東京で録ったり、結構いろいろありましたね」

――歌モノのバンドって、普通は弾き語りでも表現できるメロディから楽器を積み重ねていくのがほとんどやから、なかなかトラック先行では作らないもんね。

「ただ、この頃にはやりたい方向性みたいものは割としっかりあって、それをいかに音として出すか、ライブでどうするのか。理想にはまだ距離があったんですけど、やりたいことはこの辺からはちゃんとありましたね」

――『夏の夜の夢』はある種のコンセプトアルバムで、ココロオークションを世に知らしめてくれた『蝉時雨』『夏の幻』『雨音』、そして『線香花火』という夏の短編小説MVシリーズをまとめて、次のフェイズに進むための音源にもなりましたけど、もう『Musical』に向けてのギアが入ってるのが分かるね。

「入ってますね。この頃には『Musical』に入った曲のデモも数曲あって、『夏の夜の夢』のパッケージにはさすがに無理かなって見送った曲もあったし。『景色の花束』を作ったときぐらいから、“もう、次は絶対に変えよう!”って思ってました。そこから、『夏の夜の夢』のツアーで、いわゆるアッパーな曲ばっかりやるんじゃなくて、ミドルとかバラードで勝負する姿勢をしっかり打ち出して。僕らとしても絶対にやれる自信があったし、実際にお客さんの反応もよくて。それを実感できたんでいいツアーになったと思うし、今の音楽シーンで自分らがいる場所はやっぱりメインじゃなくてカウンターやねんけど、その方法は昔からいいと思ってやってきたこと、みたいな自覚が」

――何か不思議やね。ココロオークションはシーンのド真ん中に行くんやろうなぁと思ってたのに。

「よく言ってくれてましたね」

「行かなかったですね(笑)。行かへんかったから、今も目指せてるのかもしれない」

『Musical』を出すのはすごい挑戦やと思うし、転機にしないとダメやと思ってます

――そして、『Musical』は今まで各作品に断片的に表れてきたサウンドを明確にブーストしたのが感じられるアルバムやけど、そうさせたきっかけみたいな曲はあったの?

「『線香花火』を作ってから、できる曲がそういうチルっぽい曲ばかりになっていって。この曲からそれに寄せたというよりは、自然とストックがそういう曲ばっかりになっていったから、自ずと方向性も決まったみたいな」

――冒頭のアンビエントなインスト『Enter’acte』から始まって、続く『砂時計』のBPMのゆったり具合はすごいよね。今まではアルバムの頭からアゲてたのが。

「これはホンマにチャレンジではあります。でも、僕は『砂時計』を頭にしたいと最初から思ってて。だから、いい曲になれってずっと思ってました。どうにか形になってほしかったので。メンバーからは結構違う意見も出たりしたんですけど…『砂時計』でいきたいと伝えると、みんながニヤッっとするというか(笑)。これを推すデメリットも考えたうえで、バンドのみんなが面白いと思える気分になったんで、半分強行というか」

――『Musical』を聴いてると、プレイスタイル的にも“そもそもこんなギタリストだったっけ?”って思うぐらい、テンメイが空間系のエフェクトを駆使したサウンドを一手に担ってて。このギターの音色は、今やバンドの大きな特徴の1つになってる。

「『Musical』で確実に次元が変わったというか…正直、人が変わったな、っていうぐらい自分の録る音は変わりました。それは4人で決めたことでもあるんですけど、メロディについて、グルーヴについて…日々ずっと考えてたんですよね。『CINEMA』辺りからシンセと上モノのギターが一緒になってきたんですけど、その中でのギターのポジションはあんまり気にしてなかったんですよ。でも、『Musical』の楽曲はそれじゃ全然通用しないと思って…何回もデモを聴いて、4人で鳴らしてる意味を考えた結果、自分のギターの存在感は絶対に出さないといけないと思ったんです。シンセを無視するわけではないんですけど、どういうプレイをしたらどこが聴こえて、どういう曲になるのか。根本的にギターに対する考え方が変わったし、プレイヤーとしても聴き手としても、1曲1曲の味わい深さとか奥行きを、細かく自分の中で判断するようになりました」

「俺はすごくノリを重視して録るようになったんですよ。今までも何も考えてなかったわけじゃないですけど、疾走感とか勢いが欲しくて叩いてた自分がいたんで。『Musical』は4人のグルーヴを気持ちよく出す方法を、改めて考える作品になったと思いますね」

「僕は『夏の夜の夢』で伝えるべきことが分かったので、それを軸に考えたら自ずと…って感じにはなるんですけど、結局は“生きること”ですよね。今回はそういうテーマの歌詞がすごく多いというか」

――終わりがあるからこその今を歌う…すごく時間軸を感じる曲が多いですよね。あと、歌詞を見て栗子くんは優しいなって改めて(笑)。そして、もちろん自分にも歌ってるけど、ちゃんと導く人になってる。

「確かにそうかもしれないですね。聴いてくれる人と横並びで一緒に走ってるけど、僕は結末を知っているような…ちょっと導いてあげるような、そういうイメージは近いかもしれないです」

――そして、声も楽器の1つじゃないけど、サウンド的にもより機能してる感じがします。

「それは考えましたね。リズムの話とかにもなってくるんですけど、“音楽的に考えたときに何ら違いはない、ギターと一緒やで”って。それは練習するときからイチから意識し直して、そういうところはレコーディングにも出ましたね」

――歌も楽器ですとなったら、無機質にも成りかねない怖さがあるけど、そうならないのがやっぱり栗子くんの声の強さというか。

「今回は4人で1つになって届けることをすごく意識しました。『Musical』っていうタイトルもそうなんですけど、“音楽的に”って考えたときに歌をどう届けるのかというところで、楽器みたいに並列に出した方がお互いに引き立つというか、サウンドも声もメロディもノリも全部で1つ。そこは発見というか、だいぶ成長させてくれた作品やなって思います」

「より風景の中に歌が溶け込む…ケンカするんじゃなくて、譲り合うわけでもなくて、共存するために、景色にするために、そこはフレーズの段階からこだわって作りました。とは言っても、やっぱり歌を聴いてほしいのが第一にあるし、歌を生かしたいとずっと思ってるので。そこは経験を積んだからこそなのかなと」

――『妖精のピアス』とかは面白いし、独特よね。メロディもリフも、鳴っている音が全部キャッチー。楽器が奏でている音自体にフックがある。

「これは突発的にできたんですけど、『夏の夜の夢』に入ってる『なみだ』と手法的にはすごく似ていて、よりエッジィというか」

――歌詞も栗子くんらしいなと思ったけど、“連れ去りたい”と言った次の行で“叶うはずない”とくる、この諦めの早さよ(笑)。もっと恋の駆け引きをするか思いきや、お人よし感がすごい(笑)。

「最初から無理って分かってるんですよ(笑)。分かってるうえで、何とか頑張ってみたけどやっぱり、みたいな(笑)」

――あと、アルバムの構成的にも、冒頭の『Enter’acte』と中盤の『Interlude』の配置が、すごくアナログレコードっぽいし。自分たちにとっても転機になる作品だと思いました?

「思いました。それに、めちゃめちゃチャレンジやと思って『Musical』を作ったので。今のシーンにいることも含めて『Musical』を出すのはすごい挑戦やと思うし、転機にしないとダメやと思ってます」

「ひと言で言えば“成長”なんですけど、本当に苦しいことも、楽しいことも、いろんなことを音楽に変換できたかなって。それこそさっき話にあったように、栗子さんの優しさが歌詞に出てるとか、“伝える”という部分でもいろいろ思うことがあって。バンドによってカラーは違うと思うんですけど、ココロオークションって“光を灯す”バンドやなと思ったんです。それ自体が光り輝いてるんじゃなくて、最後に光を灯してくれる、身近に寄り添ってくれる感覚というか」

「これまでと比べても各々が音に対して貪欲に作った作品なので、技術面も含めて、今の俺たちを表したいい作品になったなと。例えば、これを持ってツアーを回ったら、来年は客層が全然変わるかもって思うぐらい、キャラクターが違う作品になったんで。今からこのCDを持って各地でライブをしたらどうなるんやろうって」

「『Musical』の歌詞を書いてたときは、“この時間が永遠に続くんちゃうか”ってしんどいこともあったんですけど(笑)。『Musical』は人懐っこくはないんですけど、すごく大事な、偉大な物語みたいな感じで、傍にいてくれる作品なのかなって。人生のヒントになるようないろんな世界があって、CDを持って旅に出たような気持ちになれる。ただ地球を旅するとかじゃなくて、いろんな時代のいろんな場所に行くみたいな感覚があって、懐の深い作品だなぁと思いました」

「割と早い段階から“音楽的に”っていうワードが僕らの中でホットやったので、スタジオでもその言葉をよく発してたんです。そういうところに意識が向くようになったのはすごく成長したと思うし、昔は考えもしなかったことなので、単純に嬉しかったんですよね。この4人で積み上げて、ここまでたどり着いた。まだ全然ゴールではないんですけどね」

――タイトル曲の『Musical』の歌詞にもありますけど、“君が主役のミュージカルだ”、“その人生はミュージカルだ”、“たったひとつのミュージカルだ”って…。今は価値観の共有がSNSでも強要されがちな世の中やけど、それぞれの人生は1つしかなくて、それぞれに正解があるはずで。壮大なメッセージと音楽的な探求心が入ったこういう曲が、最後に入ってるのは頼もしいですね。

「この意志が伝わってほしいなと思うんですけど、僕らは音楽が好きということに気付いて、ライブシーンで育ってきた。でも、そこだけでは終わりたくないし、もっと多くの人に聴いてもらいたいし、そのための音を作ったんで。こういう音をライブシーンで改めて鳴らすことに意味を感じてるし、今までのココロオークションを知ってる人にも楽しんでほしい。僕ら自身も“やったるで!”って思ってるんで(笑)。新しく知ってくれる人には、バンドとかそういうのは一旦取っ払って、音楽として受け取ってほしいと強く思います。たまたまこんなアルバムを作ったんじゃなくて、僕らの意志表示として、“こういう音楽をやっていきますよ”っていう気持ちなんで」

Text by 奥“ボウイ”昌史

“Musical”
楽曲解説

リリースに寄せて

BURNOUT SYNDROMES 石川大裕

サイダーガール 宮崎ゆりん

Brian the Sun 白山治輝

岡崎体育

LEGO BIG MORL タナカヒロキ

ドラマチックアラスカ ヒジカタ

WEAVER 杉本

フクザワ

児玉

松室政哉

鶴

MAGIC OF LiFE

樋口

よっぴー

ラックライフ

halo

菊池さん

空想委員会

シナリオアート

アンテナ

河内健吾

ヒグチアイ


Music Video

砂時計 Music Video


  • Designer
    波平昌志Masashi Namihira
    1985年生まれ、沖縄県出身。2011年、沖縄県立芸術大学卒業。株式会社エマエンタープライズを経て、2015年よりgoen°にグラフィックデザイナーとして参加し、南三陸志津川さんさん商店街のロゴ・サイン、絢香/This is meのアートワークなどを担当。2018年、株式会社ミニトマトを創立。
  • Photographer
    国府田利光toshimitsu koda
    1978年生まれ
    スタジオ勤務を経て、フリーとなり現在に至る。
    2013年 写真展「CLOUD」
    人物撮影を得意とし、広告撮影、企業パンフレット、CDジャケットなど幅広く活動中。
    近年は自らの作品づくりにも力を入れている。
  • Director
    脇坂侑希Yuki Wakisaka
    1991.11.14
    大阪芸術大学を卒業後、フリーランスで映像ディレクターとして活動。その後、株式会社isaiを池田圭と設立。現在は、ミュージックビデオを主に、live movieやCMの制作をしている。
    企画、監督、撮影、編集全てを自身で行なっていることが多い。
  • Goods Designer
    石原美里Misato Ishihara
    武蔵野美術大学卒業後、(株)LD&K、(株)NPCを経て2014年3月〜現在フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動中。
    CD・DVD等のパッケージ、ロゴ、パンフレット、webページ、コンサートグッズ等のデザイン・イラスト作成からブランディングディレクションなどを手がける。
  • Goods Designer
    あさくらちさとChisato Asakura
    奈良県出身 大阪芸術大学卒業
    大学在学中よりアニメ「寿司くん」のイラストを担当し注目を集める。
    現在「ヤバイTシャツ屋さん」のメインアートワークを担当し、その他にもバンドグッズ、大型フェス、サーキットフェスの公式グッズを手がけている、新進気鋭のイラストレーター。